2017年4月9日日曜日

癒しのジャングル 〜マレーシア、ペナン〜



マレーシアの山奥には
どっさり
という言葉がお似合いな緑がある。

観光地化し便利すぎるビーチは、最近どうも飽きてきて、今はジャングルや山奥のリゾートが面白い。
ともかく人が少なく、心静まる。


先日、仕事の疲れを癒しにペナンの山の頂上に行き、仏教徒のオーナーがやっているリゾートに泊まった。

離島にホテルひとつ、なら、こちらは山にひとつである。
山をひとつ買っており、裾から、このリゾートの客以外は立ち入り禁止。

ジャングルの中に大理石の仏像があるなんてね。
建築家のセンスが光る斬新な集落だ。

オーナーと建築家の想像がベストマッチしたのだろう。
このリゾートは、

"人を泊め、同時に自然にポーンと放り込む"

という2つを見事にやってのけている。

木網のハンモックは、山の斜面ギリギリのところにあって、
ペナンの街に向かって飛んでいるような開放感があったし、
贅沢に作られた一脚のみのベンチは、山の頂上を独り占めしているかのような気分にさせた。

一棟貸しで、それぞれの家に仏道に通じた名前がある。
優しい木のキーホルダーがついた鍵で家に戻ると、その窓からまた、ペナンを見下ろす絶景を臨めるのだ。 

静けさの中での夕陽。
ビーチにいたら経験することのない非日常を、このリゾートは連続的に与えてくれる。

木のざわめきや、虫の合唱の中、夜を迎える。
寝ていると時々スコールの音が聞こえ、それがまたいい。
雨が開けた後のジャングルは、言いがたいほどエネルギーに満ちている。

素晴らしく脳のこりかたまりが溶け、
不思議で幸せな夢をたくさん見た。

朝食はビュッフェではない。
心優しい、瞳の綺麗なスタッフ達が、
順番に持ってくる。

マレーシアの人々はシャイでいながら人なつこい笑顔があり、
礼儀正しい。

蓮の池には時々カエルが飛び込んでゆく。
都会でカエルなんか見たらうわーと思うが、ここでは愛しい。

そんな自然の、時に偉大で、時に小さな動きを見つめながら、
ゆっくりと散歩をし、また家に戻って昼寝したりする。

久しぶりにリゾートの真髄に浸れた感覚であり、
間違いなく、立地が決して良いとは言えないこんな山奥なのに、また行きたいと思っている。


もともと星野リゾートがやりたかった原点はこういう類にあると思うのだが、今は上場して株主優位。どうもわざとらしくなってしまった。

ペナンの山奥には大理石のブッダがいる。
鳥が鳴き、雨が降り、太陽が巡る。

そんなリゾートが、そこにはあった。